
結論
個人開発でいちばん続くのは、他人のためではなく“自分の困りごと”を解くアプリだと思う。公開しなくても価値はあるし、AIがいる今なら、その一本を自分の手で作れる。
メモアプリが続かないので、自分専用に作ることにした
これまで、市販のメモアプリがことごとく続かなかった。書くのが面倒で、貯めても後から探せない。結局そのまま放置してしまう。同じ経験をした人は多いと思う。
そこで、AIコーディングツールのClaude Codeを使って、自分専用のメモアプリを作ることにした。作ったのは「話すだけで知識になる」ことを目指したメモアプリだ。スマホから音声で思いついたことを話すと、AIがそれを要約し、内容ごとに分類し、タグを付け、「あとでやること」まで自動で抜き出してくれる。私がやるのは話すことだけで、整理はAIに任せている。
このアプリは公開していない。自分だけが使う道具として作った。この記事は、そういう「自分の困りごとを解くための一本」を、個人開発でどこまで作れるのかという記録になる。
何ができるアプリなのか(作ったもので説明する)
抽象的に説明するより、実際に動いている機能を並べたほうが早い。私がClaude Codeに「こうしたい」と伝えて形になったものは、たとえばこういうものだ。
- 音声かテキストでメモを入れると、AIが自動で要約・分類・タグ付けをする
- メモから「あとでやること」を自動で抜き出して、やることリストにためる
- 「仕事」「副業」「趣味」「家庭」「開発」といった自分の複数の立場を、AIが内容から見分けて仕分ける
- 立場ごとのダッシュボードで、その領域の最近のメモと次にやることだけを表示する
- 思い出や記録を地図上のピンとして残せる(写真も一緒に添えられる)
- ちょっとしたメモや簡単なToDoを、AI整理とは別に手早く残せる
とくに気に入っているのは、メモを立場ごとに自動で仕分けてくれるところだ。頭の中がごちゃ混ぜのまま話しても、後から「この立場のことだけ見たい」で絞り込める。こういう「自分の使い方にぴったり合った動き」は、既製アプリではなかなか手に入らない。自分で作るからこそ、自分の脳みその形に寄せられる。
なぜ「自分専用・非公開」にしたのか
最初から他人に使ってもらうつもりはなかった。中身は自分の生活の記録そのものだから、公開する前提だと設計が一気に重くなる。誰の情報をどう守るか、どんな認証を用意するか——考えることが増えて、たいてい完成しない。
割り切って「自分だけが使う」と決めると、ここが驚くほど軽くなる。ログインは、自分のアカウント以外は開けないようにする仕組み(Cloudflare Access)を一枚かぶせるだけ。URLを他人が知っても、中身は本人しか見られない。個人開発の最初の一本としては、この「自分専用」という割り切りがいちばん作りやすいと、今回あらためて感じた。
AIでどう作って、どう育てているか
作り方はシンプルで、やりたいことを言葉でClaude Codeに伝え、出てきた画面を触って直してもらう、の繰り返しだ。中身の技術(Next.jsやCloudflareのデータベースなど)は自分ではよく分かっていないが、それでも公開まで——正確には自分が毎日使える状態まで——持っていけた。
このアプリの特徴は、一度作って終わりではなく、使いながら少しずつ育てているところだ。「立場ごとのダッシュボードが欲しい」「思い出を地図にも残したい」「写真も添えたい」と、生活の中で出てきた要望を、そのつどClaude Codeに頼んで足していく。既製アプリなら「その機能が来るのを待つ」しかないが、自分のアプリなら「明日ほしい機能を今日足す」ができる。この距離の近さが、個人開発でいちばん楽しいところだと思う。配信は、このAI道具箱のサイトと同じCloudflareの基盤に乗せている。
Cloudflare Workers / Pages
このサイトの配信基盤。Phase 1 では Cloudflare Workers + OpenNext 構成を固定し、D1 や Secrets が必要になった段階で追加します。
つまずいたところ(本音)
もちろん、すんなりいったわけではない。
ひとつは、データベースの更新作業でつまずいた。本番のデータベースに新しい設計を反映させようとしたら、正規の手順のはずが「権限がありません」というエラー(401)ではじかれ続けた。トークンの権限は足りているのに、特定の経路だけが通らない。結局、まとめて流し込むやり方をやめて、一文ずつ実行する回り道で通した。ここはエラーの文面をAIと一緒に読んで、原因を切り分けながら別ルートを探す作業で、まさに「AIに丸投げ」ではなく「AIと一緒に詰まりを抜ける」時間だった。
もうひとつは、AIによる自動分類が完璧ではないことだ。立場の仕分けはかなり当たるが、公開してよい話か内輪の話かといった細かい判定は、たまに外す。ここは「AIが全部正しくやってくれる」と期待しすぎず、後から手で直せる余地を残しておくのが現実的だと学んだ。自分専用だからこそ、多少の粗さは許容して、使いながら直していける。
作りたいものの形がまだ漠然としている段階なら、生成AIの使い方を一度体系立てて押さえておくと、「どこまでAIに任せて、どこは自分で決めるか」の勘所が早くつかめる。
個人開発は「自分の困りごと」から始めるのが強い
今回いちばん実感したのは、個人開発で続くのは「他人のため」より「自分の困りごと」を解くアプリだということだ。毎日自分が使うから、直したい所がすぐ見つかるし、育てる動機が切れない。公開して誰かに評価されなくても、自分の面倒がひとつ減ればそれで元は取れる。
「作りたいものがない」と止まっているなら、まず自分が地味に困っていることを一つ思い出してみてほしい。それを解く小さな道具を、公開もせず自分のためだけに作る。AIがいる今なら、その一本は思っているより近い場所にある。私も、続かなかったメモ習慣ひとつから始めた。
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よくある質問
公開しないアプリを作る意味はありますか?
あります。私が作った自分専用メモアプリは公開していませんが、毎日使う道具として確実に役立っています。他人に使ってもらうことだけがアプリの価値ではありません。自分の面倒をひとつ減らす、自分のデータを自分の形で貯める——それだけでも作る価値は十分にあります。むしろ自分だけが使うと割り切るほうが、認証や公開の設計を簡単にできて、最初の一本には向いています。
自分専用アプリでも個人情報の扱いは気にすべきですか?
はい。自分専用でも、ログインの仕組みは最初から入れておくべきです。私はCloudflare Accessという仕組みで、自分のGoogleアカウント以外は開けないようにしています。自分の生活の記録が入るアプリなので、URLを知られても他人が中身を見られない状態にしておくのは必須です。
こういうアプリを作るのにいくらかかりますか?
私の場合、ホスティングはCloudflareの無料枠、AIの利用料が使った分だけかかる程度で、月に数百円のオーダーに収まっています。大きな初期投資は必要ありません。まずは小さく作って、使いながら育てていくのが現実的です。
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